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「需要の価格弾力性は、何を何で割るの?」「答えがマイナスになるのは間違い?」。中小企業診断士の経済学で、公式の使い方に迷っていませんか。
まず押さえたいのは、需要量の変化率を、価格の変化率で割ることです。次に、変化率の基準と、問題が求める符号を確認します。需要曲線上の「ある点」を問う場合は、その点の価格・数量を使います。
この記事では、パンの値下げと直線の需要曲線を例に、計算・マイナスの扱い・売上の検算まで整理します。例題と学習時間は説明用に作ったもので、実際の店舗データや私の学習記録ではありません。
需要の価格弾力性は「価格への反応」を割合で比べる
需要量とは、買い手が買いたいと考える数量です。需要の価格弾力性は、価格が変化したときに、その数量がどの程度反応するかを表します。ここでは、ほかの条件が同じで、価格が下がると需要量が増える通常のケースを扱います。
たとえば「20円安くなって25個多く売れる」だけでは、反応の大きさを比べにくいですよね。もとの価格が200円か2,000円かで、20円の意味は違います。そこで、円や個の差を、それぞれの基準に対する割合へ直します。
需要の価格弾力性(絶対値)
=|需要量の変化率 ÷ 価格の変化率|
縦の線「| |」は絶対値を表します。マイナスを外して、反応の大きさを見る記号です。絶対値が1より大きければ弾力的、1より小さければ非弾力的と呼びます。
例題1|値下げ前を基準に変化率を計算する
あるパンの価格を200円から180円に下げると、1日の需要量が100個から125個になったとします。ここでは需要量の分をすべて販売できるものとし、値下げ前を基準にした変化率で弾力性の絶対値を求めます。
| 項目 | 値下げ前 | 値下げ後 |
|---|---|---|
| 価格 | 200円 | 180円 |
| 需要量 | 100個 | 125個 |
① 価格の変化率を出す
価格の変化率
=(180-200)÷200
=-0.1、つまり10%の下落です。
分母は、この問題で基準に指定した値下げ前の200円です。差額20円を180円で割ると、別の基準による割合になります。
② 需要量の変化率を出す
需要量の変化率
=(125-100)÷100
=0.25、つまり25%の増加です。
③ 需要量の変化率を価格の変化率で割る
弾力性の絶対値
=|0.25÷(-0.1)|
=2.5です。
「価格の下落率10%に対し、需要量の増加率は25%。反応は2.5倍」と説明できれば、分子と分母を取り違えにくくなります。計算途中で小数と百分率を混ぜず、0.25÷0.1、または25÷10にそろえましょう。
マイナスが付く公式と付かない公式はどう違う?
例題1で、符号を残したまま割ると-2.5になります。価格が下がる一方で数量が増えるため、二つの変化率の符号が逆になるからです。
教材では、この符号を調整して正の数で示すため、式の先頭にマイナスを置くことがあります。
弾力性=-(需要量の変化率÷価格の変化率)
例題1では、-{0.25÷(-0.1)}=2.5
「絶対値を取る」と「先頭にマイナスを付ける」は、通常の右下がりの需要曲線では同じ大きさになります。両方の処理を重ねて、最後にまた負の数へ戻さないようにしましょう。試験では「絶対値」などの指定と、使用する定義を読みます。
例題2|需要曲線上の点では、その価格と数量を使う

次は前のパンのデータとは別の例です。価格をP、需要量をQとし、需要曲線がQ=240-3Pで表されるとします。「P=60の点における需要の価格弾力性の絶対値」を求めてみましょう。
まず指定された価格から数量を求める
P=60を代入すると、Q=240-3×60=60です。価格が1増えると、数量は3減るという関係も、式の「-3P」から読み取れます。
このようにQ=a-bPという直線で、a・bが正の場合、その点の弾力性の絶対値はb×P÷Qで求められます。この例では、3×60÷60=3です。
仕組みを確かめるため、Pを60から61にすると、Qは60から57になります。価格の変化率は1÷60、数量の変化率は-3÷60。絶対値を取って割ると3になります。直線なので、この計算でも指定された点の値を確かめられます。
「いつも変化前で割る」と覚えない
例題1は「値下げ前を基準にした変化率」という指定でした。例題2は「P=60の点」です。設問がどの基準・どの点を問うているかが先です。グラフの端の価格や数量を、自動的に分母に置くわけではありません。
また、二つの点の間の弾力性を、中点の価格・数量を基準に計算する方法もあります。始点基準とは答えが変わるため、問題に中点法などの指定があれば従います。
同じ直線でも、価格弾力性は場所によって変わる
同じQ=240-3Pで、三つの点を比べると次のようになります。
| 価格P | 数量Q | 弾力性の絶対値 |
|---|---|---|
| 20 | 180 | 3×20÷180=1/3 |
| 40 | 120 | 3×40÷120=1 |
| 60 | 60 | 3×60÷60=3 |
数量の減り方「-3」は一定でも、P÷Qが変わるため、弾力性は一定ではありません。線が直線だから弾力性も同じ、と判断しないことが大切です。
なお、縦軸が価格P、横軸が数量Qのグラフでは、式をP=80-Q÷3と直したときの傾きは-1/3です。Qの式の係数-3と、見た目のグラフの傾きを混同しないようにしましょう。
値下げしたら売上は増える?価格×数量で検算する
例題1のパンでは、値下げ前の売上は200円×100個=20,000円、値下げ後は180円×125個=22,500円です。価格は下がりましたが、数量が増えた結果、売上は2,500円増えました。
ただし、売上の増加と利益の増加は別です。ここでは材料費などの費用を扱っていないので、利益が増えたとは判断できません。
「弾力性1なら売上一定」は条件まで読む
価格弾力性と売上の関係は、ある点でのごく小さな価格変化を考えるのか、実際に離れた二つの価格を比べるのかで、扱いに注意が必要です。
たとえば、200円・100個から180円・110個へ変わった場合、変化前基準では10%値下げ・10%数量増なので弾力性の絶対値は1です。しかし売上は20,000円から19,800円へ減ります。0.9×1.1=0.99になるためです。
これは、離れた二点を始点基準で計算した例です。「ある点の弾力性が1」という局所的な性質を、どんな幅の値下げでも売上が変わらないという意味に広げないようにします。前後の価格と数量が与えられたら、売上を掛け算で確認すると確実です。
通勤中の確認問題と、自宅での解き直し
まずはスマホの画面を少し止めて、次の2問を考えてみてください。
- 価格が8%上がり、需要量が12%減った場合、弾力性の絶対値はいくつですか。
- Q=240-3Pで、P=30の点の弾力性の絶対値はいくつですか。
答えは、1問目が12÷8=1.5。2問目はQ=150なので、3×30÷150=0.6です。数量を出す前に30を割り算へ入れてしまった人は、「Pを代入→Qを確定→弾力性」の順に戻りましょう。
社会人の学習例として、行きの電車で5分、分子・分母と符号を言葉で確認し、帰宅後の10分で需要曲線の式を紙に書いて解く方法があります。翌日は数字を変えて1問。時間は提案であり、到達を保証する目安ではありません。
経済学全体の進め方や、講義を見た後にどのように過去問へ移るかは、次の記事で整理しています。
価格弾力性を解き終えたら、学んだ単元をその日の演習につなげる流れも確認してみてください。
式の説明で止まるときは、教材の解説を比べる
教材選びでは、正解だけでなく「なぜその数字で割るか」「符号をどう扱うか」「グラフのどの点を見るか」まで確認できるかを見ます。今のテキストで説明できるなら、すぐに教材を増やす必要はありません。
解説を読んでも式と図が結び付かない場合は、動画講義を試す方法があります。アガルートの2027年合格目標の入門講座では、短く区切られた講義動画を案内しています。視聴後に自分で式を再現できるかを、相性の判断材料にしてください。
公式の資料請求・無料体験で案内されているサンプル講義は、財務・会計、企業経営理論、運営管理です。この価格弾力性の解説を無料で見られると約束するものではありません。経済学の講義を確認したい場合は、公開サンプルや受講相談で確認できる範囲を確かめましょう。
私は2025年にアガルートの一次パックを受講し、一次試験4科目に合格しました。講座を使った経験を知りたい方は、受講体験談も判断材料にしてください。
体験談は当時の経験です。申込み時は、現在の対象講座・教材・配信時期を公式案内で確認してください。今日の復習は、例題2の「60」を「30」に変えて、答えの理由まで説明できるか確かめるところから始められます。
参考資料・確認日
基本式と直線の需要曲線の扱いは、次の教育資料で確認しました。例題の設定・数値・解説文は本記事独自のものです。講座の案内を含め、確認日は2026年11月6日です。


